自立して事業を営む際、経費計上は節税対策において非常に重要ですが、福利厚生費という科目の使用には慎重な判断が求められます。
企業では従業員の福祉向上という名目での支出が広く認められていますが、従業員のいない個人事業の場合、自分のための支出は基本的に経費として認められない傾向が強いためです。
しかし、実態として仕事に関連する出費であれば、別の勘定科目を用いることで正当に経費として計上できる余地があります。何が認められ、何が認められないのかを正しく整理しておくことが、健全な経営への第一歩です。

たとえば、クライアントとの関係性を深めるための飲食費は、福利厚生費ではなく接待交際費として計上可能です。また、打ち合わせを伴うカフェなどでの食事代は会議費として処理するのが適切でしょう。
仕事の上でどうしても必要となる商品の買い付けや取材、競合他社の視察などについては、旅費交通費や取材費、研究費といった科目を選択することで経費として認められる可能性が高まります。
重要なのは、その支出が事業を運営するうえでいかに不可欠だったかを領収書や記録に基づき論理的に説明できる状態にしておくことです。

健康診断の費用については、原則として自分の分は経費にできないとされています。ですが、受診の結果として病気が見つかり治療を行った場合には、確定申告時に医療費控除を活用することで税負担を軽減できます。
スポーツクラブの会費などは判断が分かれるところですが、健康維持が仕事の成果に直結することを証明する説得材料を準備すれば、一部を計上できる場合もあるでしょう。
ただし、これらはあくまで一般論であり、具体的な可否は税務署の見解によって左右されることもあります。不安な場合は、専門家の意見を仰ぎながら社会通念上問題のない範囲で慎重に判断していく姿勢が大切です。