組織という後ろ盾を離れて活動を始めると、これまで会社が負担していたさまざまな費用を自らで管理しなければなりません。
その中でも判断に迷いやすいのが、福利厚生に関連する出費です。一人で事業を営む場合、基本的に福利厚生サービスを利用した際にかかる利用料を経費として計上することはできません。福利厚生とは、本来雇用主が従業員に対して提供する報酬の一部であり、自分に対して福利厚生を提供することは税務上生活費の延長とみなされるためです。
しかし、事業を継続する上で発生する多種多様な出費をできるだけ経費として計上したいと考えるのは当然の心理でしょう。
仕事に関連しそうな項目でも、実際には経費として認められないものがいくつかあります。
代表的なのが残業時の飲食代です。会社員は残業中の食事代を福利厚生費として処理できる場合がありますが、個人の場合は自分の残業に対して食事代を支払っても、それは残念ながら私的な生活費と扱われ福利厚生費とは認められません。
次に健康診断費についても同様です。従業員を雇用している事業主がその従業員のために支払った場合は経費計上が可能ですが、自分の健康診断のために出費しても、それは雇用主から従業員への福利厚生という構図にはならないため対象外となります。
また、旅費や接待費の取り扱いにも注意が必要です。発注者を接待する飲食や旅行なら接待交際費などの科目で計上できますが、これが福利厚生費として認められるケースは稀です。さらに、飲食や旅行の相手が他人ではなく専従者、つまり生計を共にする配偶者や15歳以上の子どもの場合は基本的には経費としてカウントできません。
ただし、専従者以外の従業員も同席しており、その費用を事業主が全額負担したという実態があれば、専従者の分も含めて全額を福利厚生費として計上できる可能性があります。
自分の事業を守るためにも、正しい知識に基づいた申告を心がけるべきでしょう。